うつ病

概要

失恋、仕事のトラブル、家族との離別…。人は、日常生活の中で様々なストレスにさらされ、悲しい気分になったり、眠れなくなるなど不調になることがあります。それでも、何日かたてば気持ちは落ち着き、日常生活を取り戻すことができるようになります。
しかし、一日中落ち込んだ気分になったり、2週間以上眠れない日が続くようであれば、それは「うつ病」の始まりかもしれません。そんな時は、専門家にぜひご相談ください。

うつ病は、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減ってしまう脳の病気と考えられています。これらの神経伝達物質は、精神状態を安定させたり、やる気を起こさせたりする作用があり、これらが減少すると、無気力になったり、憂うつな気分になってしまいます。うつ病は決して怠けているわけでも、気の持ちようで何とかなるものでもありません。日本人の約15人に1人が一生のうちにかかるという非常にありふれた病気です。早めに適切な治療を受けることが必要です。

うつ病セルフチェックシート

以下の質問に対し、過去2週間の自分の状態を振り返って「はい」または「いいえ」でお答えください。

  1. 以前は楽しめていたことに興味や喜びを感じられなくなっている。
  2. 理由もなく、悲しさや空虚感が続いている。
  3. 疲れやすく、やる気が出ないと感じることが多い。
  4. 食欲が落ちた、または逆に過食気味になっている。
  5. 最近、眠れない、または寝過ぎてしまうことが増えた。
  6. 自分の価値がないと感じたり、過剰な罪悪感を抱いたりすることがある。
  7. 集中力が低下し、物事に取り組むのが難しいと感じることがある。
  8. 動作が遅くなったり、逆に落ち着かず動き回ることがある。
  9. 何もかもが無意味に思えたり、死について頻繁に考えたりすることがある。
  10. 身体的な不調(頭痛、胃痛など)があるが、原因がはっきりしない。

結果の目安
• 「はい」が 2〜4個:軽度の不調があるかもしれません。生活習慣の改善や休養を心がけてください。必要に応じて相談を。
• 「はい」が 5個以上:うつ病の可能性が考えられます。早めに医師に相談し、適切なサポートを受けましょう。


このセルフチェックはあくまで参考です。深刻な悩みがある場合は、躊躇せずに医療機関にご相談ください。


うつ病の症状は、始めのうち、こころの不調ではなく体の不調や行動の問題として現れることがあり、思春期にはそうした傾向がより強いといわれます。食欲や睡眠に現れるだけでなく、体のだるさ、生気がない、頭痛・めまい・吐き気といった体の症状、ひきこもりやリストカット、暴力や攻撃的な行動として出ることもあります。
また、朝の調子がいちばん悪く、午後から夕方にかけて改善してくることがよくあります。その為、朝なかなか起きられず仕事や学校を休んでも、午後から具合がよさそうに見えると、周囲からはサボっているように見えるかもしれません。

治療法

うつ病の治療には、落ち込んだ気分を和らげ、睡眠リズムを改善する効果をもつ抗うつ薬を中心に、必要に応じて不安感を和らげる抗不安薬などの処方をする薬物療法、そしてとにかく休むことが大切です。下記はうつ病治療に処方されることの多いお薬です。

三環系抗うつ薬(TCA)アナフラニール、ノリトレン、トリプタノール、トフラニールなど。効果が強い反面、副作用が多いため、慎重に使用されます。

四環系抗うつ薬 テトラミド、ルジオミール、テシプールなど。TCAをいくらかマイルドにしたイメージです。抗うつ効果が少し不足します。

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI) サインバルタ、トレドミン、イフェクサーSR疲労感や倦怠感が強い場合に適しています。

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSa)リフレックスなど。胃腸症状・性機能障害は出現しにくく、効果と副作用のバランスが良いです。抗うつ効果は高く鎮静作用があります。眠気と体重増加に気を付ける必要があります。

その他 ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬など。

おわりに

「自分はいないほうがよい」「消えてしまいたい」といった気持ちになることがあるかもしれません。そんな気持ちになるのも病気が原因の可能性があります。しっかり治療することで症状は改善します。

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